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夢のひと月20万円

3日前の記事でも書いたが、大学院生のお財布事情はその辺の大学生かフリーターと大して変わらないか、むしろそれよりも厳しいことが多い。実家が「太い」院生は親からの支援に頼ることもできるが、そうでもない大多数の院生にとっては、いかなる手段を用いて糊口をしのいでいくのかが文字通り死活問題となる。

 

ちなみに今現在の僕の場合であれば、まず大学のTA(ティーチング・アシスタント)をいくつか受け持つことで大体月に3~4万円を稼ぎ、隙間時間にする飲食のアルバイトで月に4~5万円を稼ぎ、その他図書室の受付などちょっとしたバイトなどで月1~2万円稼いでいるので、ざっとひと月の収入は10万円になる。もちろん仕送りなんてものはない。つまり、この間のパソコン新調にかかった約10万円は、僕のひと月の収入とほとんど同じだったということだ。なんということだ。

 

大学生からすれば月10万円の収入はそこそこ稼いでいるように見えるかもしれないが、月10万円で研究生活をしていくのはなかなか大変である。僕のように一人暮らしの場合、そもそも家賃・光熱費・通信費・食費等をギリギリに抑えても大体ひと月に7万円くらいは飛んで行ってしまう。ここに交際費や研究関係で必要な費用を含めると、簡単に支出が収入をオーバーして赤字になってしまうわけだ。今のところ学部時代に取っていた奨学金の貯金を切り崩しながら生活しているが、貯金も無限にあるわけではない。というか、そもそも貯金そのものが将来の自分への借金なわけだから、ギリシャもびっくりの財政不健全である。

 

さて、わが国には将来の日本を背負う研究者を支援するための資金制度が存在する。いわゆる「学振」というもので、詳しい説明は省くが、これに採用されると大体ひと月に20万円、年収で言えばなんと240万円が自分の口座に振り込まれることになるのだ。簡単に言ってしまえば自分の好きな研究をしているだけでお給料がもらえる、そんな素晴らしい制度なわけで、全国の大学院生のほとんどはこの資金を獲得するために血眼になる。ちなみに「学振に採用された」ということはその人物が公的機関から研究者としての力量を認められた証にもなる。だからなおさら多くの大学院生が「学振」という称号を欲しがるわけである。

 

しかしながら、僕の財政事情が最悪なように日本の財政事情も最悪であることは周知の通りであり、当然、国が全ての大学院生に資金援助を行えるわけではない。大学院生をふるいにかけ、厳しい選定を潜り抜けたより優れた大学院生に限って資金援助を行うのである。学振には修士課程の院生が申請するDC1と博士課程の院生が申請するDC2が存在するが、DC2の場合、採択率は大体20%である。つまり、「夢の20万円」は上位20%の大学院生しか手にすることができない。日本で取りうる最高の学位である博士号取得を目指すようなエリート中のエリート達の中でも、上位20%しか「月に20万円」を掴むことができない……なんとも恐ろしい世界ではないだろうか。

 

さて、結論から先に言えば、僕も学振のDC2に申請し、そして華麗に散った。上位20%の壁は高すぎた。やっぱり採用される奴らはバケモンだと思った。それでも意外と善戦したと思うので、その結果を紹介するとともに、記録として残しておきたいと思う。

 

下の画像は、僕の順位と、「不採用者」のうちのおおよその順位である。

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なるほど僕はB評価だったらしい。で、B評価というのは全申請者のうち上位20%~50%であったようだ。なるほど。すごくざっくりしているな。これでは僕が不採用者中上位21%だったのか、ギリギリ上位50%だったのか分からない。まあ不採用者のうち半分よりは上だったみたいだから、それはそれで良いのかもな。

 

下の画像は、具体的な評価内容である。そんなに具体的でもないが。

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どれも3以上のスコアを取っているので、各評価では「良好である」、総合評価では「採用してもよい」に当たるみたいだ。①~③を見た限り、研究計画に若干の問題があったものの、研究計画遂行能力にはまあまあの評価を下されたようである。ただどうも総合評価は①~③の平均値よりも低そうだ。とりあえずは「採用してもよい」レベルであったということで、安心はした。

 

下の画像は、学振申請者中の偏差値っぽいスコアである。

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うん……ほとんど真ん中って感じかな……。偏差値で言えば50くらいだろうか。何ともコメントの難しいところだが、このスコアは「全申請者中」の位置を示すものなので、全申請者の中で真ん中くらいに位置していたということになる。ちなみに今回の申請者は合計672名である。つまり「3.071」という数字を考慮すれば、僕は全申請者のうち330位~336位くらいに位置していたということになるだろう。まあ全国の博士課程在籍者の中で半分くらいの順位に自分が位置していると考えると、そんなに悪い気もしないので、夢の20万円は獲得できなかったけれど少し気分は軽い。

 

とはいえ落選したことは重く受け止めるべきだ。来年は必ず獲得したい。そのためには業績を重ねなければならないし、より研究を深めていかなくてはならない。来年こそ、掴め夢の20万円。